「怖かった」。歌舞伎俳優の市川海老蔵さん(33)が重傷を負った事件で、市川さんは一方的に暴行を受けたと主張している。しかし、一緒に酒を飲んでいた加害者側グループの男性(28)は「殴られた」と訴えており、食い違いも浮上している。

 市川さんは退院後の7日に会見。目は充血し、何回も頭を下げて謝罪するとともに、事件に言及した。

 知人らと酒を飲んだ際、暴行をしたグループの男性と知り合ったと説明。先月25日午前2〜3時ごろ、知人らは帰り、市川さんと男性は2人で飲酒した。

 男性とは初対面で、元暴走族リーダーと紹介を受けたとした上で「『怖い』と思ったが、失礼のないようにと思い、すぐ席を立てなかった。酔っている様子で、倒れたので、起こすようにして介抱した」と説明した。

 市川さんを殴った伊藤リオン容疑者(26)らについては「同じ階にいたと思うが、(男性と)2人で飲んだ記憶がほとんど」とし、暴行に関しては「突然だった。非常に長い時間に感じ、膝を突いて頭を守るのが精いっぱいだった」と証言。「命が懸かった問題で、階段を必死で下りた。手を出す余裕はなかった」として、相手への暴行や挑発行為を否定した。これに対し、男性は市川さんに灰皿で殴られたと訴えている。

 診察した医師によると、男性は6日、弁護士の紹介で、知人の男性数人と来院。鼻が腫れており、首の痛みと手のしびれを訴えた。

 男性は「ステンレス製の灰皿で2、3回殴られ、髪をつかんで引きずり倒された」と説明。顔面打撲と首の捻挫で全治2週間と診断された。男性は事件当日の先月25日にも、別の病院で診察を受けており、鼻の打撲などの診断書を持っていたという。

 医師は「自分で作った傷には見えず、不自然な点はなかった」と語った。